これからの六星はどうなるだろうか?これが最後の議題でした。
中村「地域の人たちから大事な農地を借りていることを絶対に忘れてはいけない。」
開口一番、中村がこう言いました。
北村「農業を継続するために、継続する手段を考え続けることが大事やと思う。」
これまで何度も言ってきたことを、北村は繰り返します。
中川「米作りにしても、野菜作りにしても六星の基本的な考え方を確立してったらいいな。」
米と野菜作りをずっと続けてきた中川らしい一言でした。
竹多「社内外でもっと話し合いをせんなんぞ。時には喧嘩になることだってしかたない。その過程から農業を続けるためのアイディアが生まれてくるんや。」
竹多の組織力を引き出すためのアドバイスは、自らの経験から出てきた言葉でした。
その後、4人が自由に意見交換をして、1時間が過ぎました。その議論の果てに、これからの六星が歩みを進めるためのヒントがありました。
これまで、六星の事業は複雑化してきた。栽培する作物も多様化したし、加工する物の種類も増えた。最近は売り先も通販、直売所、卸売、業務用など多様化の一途をたどっている。集中と選択がビジネスを成功に導くと考える人がいるのに、六星は全く逆の道を歩んできた。
何でこんなことになったのだろうか?と考えてみたけど、答えはやっぱり農業を続けるため。今も昔も農業を続けることが目的だから、その手段は時代に合わせて柔軟でなければならない。リスクが大きい農業を続けるためには、リスクを分散させるために事業を多様化せざるを得ない。だから今後、ますます複雑化する事業をみんなで受け入れ、アイディアを出し合い、柔軟に対応できる組織づくりを目指していかなければならない。
また、こんなことも話し合われました。
六星は個人農家じゃない。会社で農業をやっているんだ。だから、自分の意見をもつことがまず大事で、それを仲間との対話の中でお互いの理解を求め、会社としての活動に落とし込んでいくスタッフ個々の力が必要なんだと思う。そうしてコミュニケーションがとりあえる新しい社風を自分達の力で作っていくべきだと感じている。
これまでの六星の歩みは、この地域における農業の継続に一役買ってきました。 これからの六星の歩みも、この先、次の世代に繋いでいけるかどうかが最大のポイントです。当然、価値ある農業の道を歩んでいけるかどうかは、新しい世代のスタッフの力にかかっています。これまでと変わらず、土地を貸して下さるお客様、商品を買って下さるお客様。そして取引先の方や、地域の方、行政の方などあらゆる社会の方々と対話をしながら、農業という“続けていくことに価値がある産業”と向き合っていくこと。それこそが4人が半生をかけて築きあげた道を繋ぎ、さらなる可能性を広げてゆく鍵となるでしょう。